第42期

大野元寛さん

米国 ミシガン大学
(東京大学 工学部 社会基盤学科4年)
2011年9月~2013年9月

2011年9月から米国ミシガン大学土木工学部に博士課程の学生として入学しました。村田海外留学奨学金へ応募した当時は学部4年生であり、就職・国内進学・海外留学の三つの選択肢で揺れていたときでした。経済的な理由により一時は大学院への進学を諦めかけたこともありましたが、そんな時に出会ったのが村田海外留学奨学金でした。奨学会の設立趣旨と当時の私の境遇が見事に一致していたことに驚き、すぐに応募しました。競争の厳しいこの奨学金に運よく合格することができ、大志と向学心とを携えてアメリカへと渡りました。

ところが、留学当初から一年間は挫折の連続でした。それまで海外での生活や勉学の経験がなかったこともあり、異なる言語、異なる環境等によって自分の能力が大きく制限されているような気がしていました。伝えたいことを正しく伝えることができない、伝えられたことを正しく理解できないという経験は日本では到底ありえなかったことでした。

当時味わった挫折感や自分への憤りなどは今でも鮮明に覚えています。心が折れかけた時もありましたが、家族や周りの友人・同僚・指導教官の支えによって持ちこたえることができました。そして何より、村田海外留学奨学会からの多岐に渡るサポートに対して、裏切ることは決してできないという良い意味でのプレッシャーが自分を奮い立たせていました。

現在は博士課程三年目に入り、Victor Li教授と共に「高靱性繊維補強ジオポリマーの開発」に取り組んでいます。未熟なところもまだ多いのですが、この二年間で自らの大きな成長を感じることができました。その貴重な二年間に対して素晴らしいサポートをしてくださった村田海外留学奨学会に心から感謝しています。そして、海外留学を志す方々が、経済的な理由で諦めることなく、これからも海外雄飛の機会を得られることを願っています。