第41期
中島美紀さん
(東京工業大学大学院 理工学研究科 地球惑星科学専攻 博士課程1年)
2010年9月~2012年9月
私は2010年秋から、カリフォルニア工科大学惑星科学科のPh.D. 課程に在籍しています。私が留学を決めたのは、NASA等の強力な観測機関を持つアメリカで最先端の研究に従事したいと考えたからです。以前、カリフォルニア大学サンタクルーズ校に一年程交換留学をしていたので、 今回はあまり語学面等で苦労することなくすんなりと現地での生活を始めることができました。
しかし、留学に対するプレッシャーは交換留学時代とは比べ物にならないほど大きなものでした。交換留学とは異なり、学位留学は完全な片道切符で、帰る場所はありません。無事Ph.D.を取得するためには、進級試験の通過はもちろん、 論文、リサーチプロポーザルの執筆など、様々な課題をこなしていかなくてはなりません。学会発表も想像以上に大変でした。日本に居た時は、研究分野自体が小さく皆知り合いだったためか、国内で研究発表をしても大体好意的な意見を頂戴することが多かったのですが、アメリカでは激しく反発されることも少なくありませんでした。最初はそのような対応にショックを受けていましたが、それも自分の研究が注目されているからなのだと前向きにとらえ、意見を異にする研究者と積極的に(そして友好的に)議論を重ねることに努めています。苦労は絶えませんが、その分、研究者として成長できているという実感があります。
現在は、指導教官のDave Stevenson教授と共に地球の月の起源についての研究を行っております。月は天体同士の巨大衝突によって出来たというのが現在の一番有力なモデルですが、実はこのモデルでは様々な観測事実を説明できないことが分かっています。私達は数値計算を用いて、観測結果を再現できるようなモデルを構築することを目指しています。また、9月から幸いにもNASAのfellowship (NASA Earth and Space Science Fellowship)を頂けることになりました。
村田海外留学奨学会様からは、長期間に渡り温かいご支援を頂き、心から感謝しております。資金的な手厚いサポートに加え、折に触れてメッセージを送って下さるなどの温かいお心遣いにいつも励まされておりました。この場を借りて感謝を申し上げます。