第50期

古村聖さん

イタリア フィレンツェ大学
(武蔵大学 経済学部経済学科 准教授)
2019年6月~2020年3月

私は2019年の6月から2020年の3月まで、
イタリア・フィレンツェ大学のAlessandro Cigno教授とAnnalisa Luporini教授を受け入れ先として在外研究を行いました。二人の先生とは大学院生時代から研究交流がありました。今回の機会でも2017年に発表した共同研究を拡張するため、訪問することに決めました。

今回の滞在での研究課題は、「子どもが高齢の親の世話をするという規範がどのように生まれ、家族を取り巻く要因によってどのように決まるのか」「規範の存在により社会の仕組みがどのように形成されていくのか」を研究していました。滞在中は問題の精緻化と理論モデルの構築を行っていました。帰国後の現在も先生方との連絡を研究は継続しています。

フィレンツェに滞在中は先生方と週に多い時で2,3回研究打ち合わせを行いました。大学では通常の経済学の研究会に加え、心理学や政治学などの他分野を含めた学際的な研究集会が企画されており、積極的に参加しました。それ以外にも、受け入れ先の先生方とコンサートに行ったり、家庭で食事をごちそうになったりしました。同世代の研究者の方々とも今回の滞在で知り合いになり、お互いの研究や自国の文化、社会問題について語り合ったりしました。前回滞在中に仲良くなった研究者の方々も懐かしみながらいろいろな話をすることができました。その他の研究活動として、執筆中の論文の改訂や2件の国際学会での報告も行いました。

今回の滞在はコロナの影響や家族の問題もあったため、滞在が予定通り進むことが出来ませんでした。とりわけ帰国のときにはかなり強硬な予定変更が必要でした。私が帰国するときにはコロナ第一波がヨーロッパでもっとも深刻な状況になっており、帰国便の変更を重ねやっと出国した翌日にはローマ以外の空港が閉鎖されるという状況でした。現在も共同研究は継続しているものの、当初の予定通り進められなかったことに奨学生としての義務を充分果たせていないようで悩むこともありました。そんな中でも事務局のみなさまには滞在先の状況を気遣った温かい言葉を、国内にいるときには直接面会の機会をいただき、経済的だけでなく精神的にも支えていただきました。

最後になりますが、村田海外留学奨学会のみなさま、ご支援いただきましたことを心よりお礼申し上げます。
今後は奨学生OGとしての名に恥じぬよう研究活動を頑張っていきたいと思います。
本当にありがとうございました。