第49期
角南槙一さん
(京都大学 理学部)
2018年10月~2020年9月
2017年10月よりオックスフォード大学物理学科の博士課程に在籍し低温量子気体を用いた量子多体系物理の研究をしています。2016年、学部最終学年に奨学生への応募をした際は選考を通過することができなかったものの、研究計画をブラッシュアップし留学の目的をしっかり考え抜いた2017年(渡英後)には奨学生として採用頂くことができました。
オックスフォード大学は世界でも珍しいカレッジ制を取っており、学科や研究科が構成する大学と20以上あるカレッジが連携を取って教育や研究、生徒の生活のサポートを行なっています。特に学部教育においてカレッジは大きな役割を果たし、大講義室での講義は学科が行う一方で少人数での指導をカレッジが担当しています。教授や大学院生が1対2~3でつきっきりになって教えるきめ細かい教育方法がオックスフォードの質の高い学部教育を支えているようです。一般的に学部が3年で終わり修士も1年というカリキュラムも米国や日本の大学との大きな違いの一つです。きめ細かい学部教育の一方で理系の博士課程は自主性に任せており、米国の博士課程のような厳しいコースワークもなく1年目から研究室に所属して研究に打ち込みます。私の所属する研究室では指導教員が一時期学科長を務めるなどマネジメントの仕事に追われていたこともあり、特に独立した研究態度が求められました。研究グラントの申請書を博士研究員が”代筆”するなど研究者としての様々な仕事を(指導教員のサポートのもと)経験できたことは貴重な機会でした。
実験装置を存分に使えるようになった3年目にイギリス全土がロックダウンとなってしまい、研究に大きな支障が出てしまいました。現在も実験室への立ち入り時間が限られるなど困難な状況ではありますが、さらなる成果を残せるよう研究を進めてまいります。
最後になりますが、これまで手厚い支援をしていただいた村田海外留学奨学会の皆様に心より感謝申し上げます。資金面で柔軟にご支援いただいたことに加え、コロナ禍の最中など事務局の皆様に様々な場面で気遣っていただいたことが気持ちの支えとなりました。また、同じく49期奨学生の鎌田さん(ケンブリッジ大学)との奨学生同期としての繋がりがオックスフォード・ケンブリッジの日本人会の交流のきっかけになったこともありました。今後も多くの奨学生をご支援いただき、留学支援と人的ネットワークの場となっていただけると嬉しく思います。