加工中にワークがワークホルダから外れたが、考えられる原因はなにか?
打抜き加工中か成形加工中かの区別により下記が考えられます。
打抜き加工中 |
A1.板厚 t4.5 ,t6 ,φ4.5~6 程の打抜きで、ダイとワークの間に残ったスラグがワークに引っ掛り外れる場合があります。 |
- ワークがバタ付かずに突然生じるこの現象では、スラグを見ると図の位置にキズがあります。そのスラグは、製品やダイの中に残っていたり、ロアータレットのダイホルダーの間やスラグボックスの中で見つかる場合があります。Tool
Information の No.6厚板加工のノウハウ
, No.9 スラグ上り防止か、ホームページの『技術情報』をご参照願います。
- 対策は、≪厚板用スラグワイパーダイ≫を使用。
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A2.ワークホルダーの爪に切板等を挟みワークを掴むと、除々にワークがズレてその後外れる場合があります。 |
- スケッチ材加工等で、ワークホルダーの爪キズを避ける目的でワークとワークホルダの間に切板等を挟むと、ワークがズレたり外れる場合があるため推奨できません。
≪実例≫バルカンF φ6の4連グループ型 SUS t2(打抜きトン数8ton弱) でパンチングメタル加工時、ワークのズレ発生有り、危険を察知しその方法を中止。その加工中にはパンチ・ダイのカジリと異常音も発生。切板で挟んで加工しても板厚1mm未満等で打抜きトン数が極軽荷重の場合、ワークのズレが無く爪キズ防止に有効なときもあり、本機の工場オプション仕様で出荷されるケースもないとはいえません。
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A3.ダイクリアランスが小さかったり、パンチの構成刃先によりストリップミスして外れる場合があります。 |
- ダイクリアランスが過少の場合、パンチに働く側圧力が大きくなりストリップ力が不足してストリップミス(ワークが持ち上がり)しやすくなり、ワーク移動時に引っ掛り外れる場合があります。サーボプレス(モトラムシリーズ)や油圧プレスでは、連続打ちする場合に上死点まで上らず待機位置でワーク移動するため、現象が現れやすくなります。ダイクリアランスは適正にして下さい。機種により打抜き速度を遅く(低騒音モード)設定した場合、クリアランスを小さくした条件と
同様の影響がでるため注意が必要です。ダイクリアランスについては、Tool Information の No.2か、ホームページの『技術情報』をご参照願います。
- パンチの構成刃先は、パンチ刃先の潤滑なしや、再生材等で破断面が極少の一般素材と異なるワーク素材で生じ、ダイクリアランスが過少と同様の現象になります。パンチの構成刃先については、Tool
Information の No.4 か、ホームページの『技術情報』をご参照願います。
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成形型加工中 |
A4.サーボプレス(モトラム2044EZは除く)や油圧プレス機では、成形型で連続ヒット時にNCの金型情報が成形の設定になっていなければ、成形部が金型に引っ掛り外れる場合があります。 |
- サーボプレス(モトラム2044EZは除く)や油圧プレスで成形型使用時は、成形が上向・下向に関わらずNCの金型情報に成形の設定をする必要があります。
成形の設定をしない場合、上型が上死点まで上らず待機位置(右図の位置)でワーク移動する動きをして、成形された部分が成形型から抜けきらない状態で引っ掛る事になります。皿モミ成形の場合は、板厚範囲内の潰し成形で金型情報が成形でなくても引っ掛る事はありません。Tool
Information No.10 かホームページ技術情報内の『成形型の試打ち要領』を参照し、設定・調整して下さい。
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A5.下向成形で、剛性のあるバーリングや鋭角部がある成形形状を複数打つと、打ち抜き用ダイの穴に成形部がはまり込み引っ掛り外れる場合があります。 |
- 成形はプログラムの最後に行ないますが、引っ掛る成形部のいたずら防止の為に加工順を探る必要があります。
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