パンチ構成刃先
パンチ寿命は刃先の摩耗による使用限界と摩耗は少ないが構成刃先ができてそれによる悪影響で使用限界となる場合があり、構成刃先を最小に抑えるとパンチ寿命を延ばす事になります。構成刃先は、パンチ刃先側面に打抜き時ワークの一部が摩擦熱により焼付き、生成と脱落を繰り返して重なり形成されたたものです。(パンチ刃先に焼き付いたイガイガ)構成刃先が形成されると型寿命だけででなく他への影響が大きい為、注意が必要です。 |
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構成刃先の影響
- 型寿命の劣化
ストリップミスの原因となり使用出来なくなり型寿命と判断される。
- ストリップミス
構成刃先がせん断面に食い付きストリップミスすると、ワークがバタついたり ワークをひっかけて小径小寸法のパンチ刃先折れや、ワークの損傷・ワークがワークホルダーから外れる・ワークホルダー損傷の原因になります。
- 品質の低下
打抜き断面は、正常なせん断・破断にならず構成刃先による引っ掻き傷が残る場合があり、更に二次せん断バリが生じることもあります。又、ワークからパンチ引抜き時にめくれあがり追打ちの切断面が波うち状態になる場合があります。
- ガイドタイプストリッパの焼付き
メタルストリッパでパンチとストリッパの隙間が極少のガイドタイプでは、パンチとストリッパが焼付きパンチがストリッパから出たままで戻らずその結果としてストリップミスになります。<ガイドタイプのメタルストリッパは、バルカンでφ6以下と幅6以下の角・矩形・長丸が村田標準になっています
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構成刃先となる要因と対応
- パンチ刃先の潤滑なし
パンチ刃先が無潤滑の場合に焼付き構成刃先が生じやすくなります。
対応・・・ストリッパの内側にグリスを封入しパンチ刃先を潤滑する(スタイル114・バルカン共)
推奨グリス : 極圧グリス NO.0,モリコート
対応・・・コーティング ・ ウルトラハード処理
- ダイクリアランスが過少
過少ダイクリアランスの場合にせん断長が長くなり焼付き生じやすくなります。二次せん断面になる様なダイクリアランスでは、数ヒットで異常な構成刃先になり、ストリップミスで事故となる場合があります。
対応・・・適正ダイクリアランスにする。
(技術情報のダイクリアランスを参照願います)
- パンチ打抜き速度が遅過ぎ
パンチ打抜き速度を設定できるプレス機で、低騒音モードで更に打抜き速度を中低速に設定されると条件がダイクリアランスの過少と同様に破断が遅れてせん断長が長くなり焼付きが生じやすくなります。
対応・・・低騒音モードをやめて高速にする(操作盤ボタン)・NC運転状態の速度選択を高にする。
- その他
パンチ刃先の径・幅が、板圧寸法に近いものそれ以下のものは、適正ダイクリアランスであっても破断が遅れて焼付きが生じやすくなります。又、ワーク素材が再生材等でも一般素材と異なり破断が極少になり同様に生じる場合があります。
対応・・・上記と同様対応をして下さい。パンチ打抜き速度を設定できるプレス機では、待機位置補正を設定し(NC運転状態の待機位置補正量を入力)確実にワークを離した状態で次の動作をさせる。
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※油砥石で手作業により構成刃先を除去し、要因に対する対応をする事によりそのままパンチを使用できる場合があります。